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2021.4.9春という季節がきっかけで多くなるメンタル疾患

梅川 哲朗

大賀薬局 ライフストリーム 漢方薬 梅川 哲朗

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春という季節がきっかけで多くなるメンタル疾患

4月になって、天気がいいお昼間などには、ポカポカ陽気の心地よい日が増えてきましたね。

春は、四季の始まりの季節で、草木も芽吹き動物たちも活発に動き始める季節でもありますし、何か新しいことをスタートさせるにもよい時期です。

その反面で春は、1日の寒暖差が激しい上に、様々な情報や環境の変化でストレスを生じやすく、自律神経の乱れなどによるメンタル疾患にも十分な注意が必要です。

この時期の私たちの体は、急な気温の変化に対応しようと、体温機能を調節する〝自律神経″が大忙しになるのですが、自律神経は感情をつかさどる機能も持ち合わせているために、そのバランスが崩れやすくなり、ちょっとしたストレスにもイライラや不安感や憂鬱な気分が強くなり、メンタル面での疾患に陥りやすくなります。

さらに自律神経は、意思とは無関係に体の機能を調節して、様々な臓器や器官の働きを促進・抑制するため、こうした自律神経の失調が長引くことで、頭痛やめまい、動悸、吐き気、全身倦怠などといった、全身の様々なところでも症状があらわれ出します。




メンタル疾患に陥りやすい人



メンタル疾患にかかりやすいタイプの人としては、

・「人に頼らず責任感が強い」
・「仕事熱心で頑張り屋」
・「凝り性でこだわりが強い」
・「何事にも我慢強く弱音を吐かない」
・「真面目で手抜きができない」
・「労働時間が不規則」

といった傾向がある人が、よくあげられます。
中でも最後に上げた労働時間が不規則な人は、性格上の傾向ではなく、行動上、体内時計のリズムが乱れがちになることで、自律神経のバランスが崩れて、メンタル疾患に陥りやすくなるということが言えます。



日頃からできる予防策について



では、日頃からメンタル疾患にかからないようにするためには、どんなことに気をつけながら、そして、どんな行動を心掛けたらよいでしょうか。

1.可能な範囲で、規則正しい生活を心掛けましょう。出来るだけ朝は同じ時間に起きて、夜は同じ時間に寝るようにして、体内時計のリズムを乱さないようにするとよいでしょう。

2.仕事熱心になり、やる気満々で取り組んでいる場合でも、時にはブレーキをかける意識を持ちましょう。1日のうちの仕事の時間はある程度のところで区切りをつけ、必ずリラックスできる、または楽しめる時間を作りましょう。毎日のオン・オフの切り替えを大切に。

3.ストレスがたまっているなと思ったら、愚痴を聞いてもらったり、吐き出すことができる相手を作っておきましょう。もし、聞いてもらえる人がいなければ、自分のストレス解消法と思えるものを見つけておきましょう。

4.軽い運動などでも、毎日、体を動かすことを心掛けるのは、とても効果的ですが、長時間だらだらと続けるのではなく、ウォーキングやちょっとしたスポーツなどを、適度な時間で行ってやめるのがよいでしょう。

春に増えてくるメンタル疾患の最も大きな要因の2つは「寒暖差」と「環境の変化」です。
こうしたことに十分に注意をしながら、すべてにおいて無理のない程度で、上記のような行動を心掛けていただくことをおすすめします。



漢方的なメンタル疾患の捉え方



漢方医学ではメンタル疾患を、主に、ストレスや不安などがきっかけとなり、体を巡るエネルギーのような「気」の流れに異常が生じて起こるものと捉えて考察していきます。
このことに関しては、昨年の4月に書いたコラムも一読頂けたらと思います。

《関連記事》「東洋医学の考え方:春の病(やまい)は気から?」

またそれは、体の中の感情である「七情」(怒・喜・思・憂・悲・恐・驚)の大きな変化が内的要因になるものと考えます。以下は、過度になってしまった「七情」が、「気」の動きに関わることで、〝各臓器″に影響を及ぼして起こる症状についてです。

◆怒る感情が過ぎると、気が上逆して「肝」を傷つけます。
 頭痛、イライラ、めまい、カッとなって目が充血するなどの症状が起こります。
◆喜び過ぎると、気がゆるくなり「心」に負担がかかります。
 無気力、不安感、動悸、不眠などの症状を起こしてしまいます。
◆思い悩むことが続くと、気の動きが悪くなり「脾」(胃や消化器系)を弱らせます。
 みぞおちのつかえ、下痢、食欲不振などの症状が起こります。
◆憂鬱や悲しみが続くと、気が沈んで落ち込みがちになり、気を消耗し「肺」を傷つけます。
 咳や喉のつまり、ため息、過呼吸などの症状を起こしてしまいます。
◆恐れが過ぎると気が下がり、驚き過ぎると気が乱れて、「腎」を傷つけます。
 抜け毛や白髪、失禁、集中力や記憶力の低下といった症状があらわれます。

この内因となる「七情」が、それぞれの臓器に影響を及ぼすかどうかは、脳の精神・思考活動をつかさどる
心(しん)″によって決定します。
つまりこれは、その人の脳が、ストレスなどの精神的刺激をどう受け取ったか、または、どの程度の強さで感じとったかによって決まるということを意味しています。
中医学の古い書物の中には、「心動ぜば、五臓六腑みな揺らぐ」という、その状況を端的に表した言葉が残されています。

また春は、特に五臓の中でも「肝」の働きがいちばん活発な時期でもあり、いちばん影響を受けやすい時期です。そのため、気の巡りや自律神経の調整を行っている「肝」が普段よりも敏感に精神的な刺激に反応して、自律神経のバランスを崩して、メンタル疾患が起こりやすくなります。
(いわゆる、心が動じて肝が乱れたことになります)



それぞれの体質や症状に合わせて使われる処方



このような状態の際によく処方される漢方薬には

・配合生薬の〝香附子・蘇葉・陳皮″でしっかり気を巡らせ、頭痛も和らげる「香蘇散」
・気の流れの滞りを解消して自律神経を整える作用がある「抑肝散」
・それに胃腸の不調も改善するために〝陳皮″と〝半夏″を加えた「抑肝散加陳皮半夏」
・気と合わせ血や水の働きにも作用し、イライラや不安感等の不定愁訴を緩和する「逍遥散」
・それにのぼせ感などの熱症状を抑える〝牡丹皮″と〝山梔子″を加えた「加味逍遥散」

などがあります。
その他にも、ここでは詳しくその内容を紹介しきれませんが、さらに診断を進めていく中で「加味帰脾湯」「半夏厚朴湯」「柴胡加竜骨牡蠣湯」「桂枝加竜骨牡蛎湯」「釣藤散」などの処方が、細かく体質を見極めていきながら、目立つ症状に合わせて効果的に使われています。



心身のバランスをとって原因に働きかける漢方薬


体の病気や薬の副作用に伴う精神疾患、脳に異常がみられる場合の精神疾患、病院での詳しい検査や診断により「精神病」としての薬物治療が必要な疾患には、残念ながら漢方薬の投与による効果は期待できず、病院での西洋医学的な治療が必要となります。

しかしながら、検査での器質的異常はなく、体質や生活習慣、ストレスなどによる自律神経の乱れからくるメンタル疾患においては、決して手術や西洋薬だけで治療が出来るものではなく、心身のバランスをとりながら、その原因に働きかける漢方薬や、先に述べた日頃からの予防策、そして養生法などが功を奏します。

昔からよく、〝こころが壊れてしまうと、体の傷より治しにくい″と言われています。

春になった頃から、何となく長引くようなメンタルの不調や異常を感じはじめたら、早めに漢方薬を活用してみてはいかがでしょうか。




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