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2025.7.17なかなか治らない五十肩

梅川 哲朗

大賀薬局 ライフストリーム 漢方薬 梅川 哲朗

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なかなか治らない五十肩


これといって思い当たるきっかけもないのに、何となく肩や、上腕のあたりに痛みがあらわれだして、だんだん腕を上げられなくなったり、十分に動かすことができなくなってしまう「五十肩」、本当につらいですよね。

「五十肩」とは、肩のまわりの関節を構成している、腱や靭帯、関節包などに炎症が起きて、腫れや痛みを生じている状態のことで、医学名で言うと「肩関節周囲炎」に該当します。

特に50代を中心に、40~60代にかけて発症しやすい症状のため、こうした「五十肩」や「四十肩」などといった俗称で呼ばれています。








なぜ五十肩になるのか

なぜ「五十肩」と呼ばれる症状が起こるのか、その確かな原因ははっきりとしていませんが、加齢による肩周辺の組織の老化や、柔軟性の低下がきっかけとなり、そこに炎症や癒着が起こりやすくなることが、その原因の一つだと言われています。

その他にも、日頃から猫背がちであったり、デスクワークや、スマホの見過ぎからくるストレートネックなど、
姿勢の悪さからくる肩への負担の蓄積があったり、ひどい冷え症だったり、血行障害を起こすような持病を持っていたり、不摂生な食事による糖質や脂質の取り過ぎで、体内の糖化が進み、肩回りの硬化や炎症が起きやすい状態だったりすることが、五十肩を起こす要因になると考えられています。








治る期間には個人差も

五十肩は、1年ほどで自然に和らいでいく人もいれば、治るまでに数年かかる人もいるなど、それぞれに個人差があります。

またその状態が推移する期間は、「急性期(疼痛・炎症期)」、「慢性期(拘縮・凍結期)」、「回復期」の3つに分かれると言われており、各期間の長さもまた、五十肩の症状の重さや程度によって、大きく異なってきます。

一般的に、急性期は、急激に痛みが強くなっていき、どんどん肩が動かせなくなり、夜など安静にしていても痛みが起こる傾向が、慢性期は、痛みは少し和らぎますが、肩関節はこわばって、腕や肩を動かした時に、特定の位置で痛みが出る傾向があると言われています。

しかしながら中には、しばらく経ってからのほうが、肩はかなり動かせるようになったのに、痛みは前より感じているなど、一体、自分がどの期間にいて、いつ回復期に入るのか、分からないまま正しい対処法が見い出せずに、不安な状態で過ごしている方も多いようです。








似たような症状がある病気

肩まわりや腕の痛みは、五十肩と思いきや、実は別の病気だったという可能性もあります。

五十肩と似たような症状をあらわす主な病気には、「石灰沈着性腱板炎」、「変形性肩関節症」、「腱板断裂」などがあります。

中でも特に、加齢や肩の酷使などにより、日常生活の中で徐々に断裂が起こることがある「腱板断裂」は、五十肩と間違えられやすく、レントゲンの検査だけでは分かりにくいとも言われています。

もし、今の肩の痛みが、腱板断裂だとしたら、そのままにしていても完治することはなく、五十肩とはその治療方法も異なってきます。

前に一度、五十肩だと診断を受けた方でも、痛みの期間がかなり長引いてたり、一向に緩和されないようなら、再度、詳しくMRIやエコーなどで、専門医による診断を受けてみたほうが良いかと思われます。








状態に合わせた治療法の選択

五十肩への治療は、先にも少し述べたように、その状態や症状に合わせた対処が必要なため、まずは整形外科などで、断裂や石灰沈着がないかを、レントゲンなどできちんと検査をしてもらうことが大切です。

(近くにあるからなどの理由で、最初から、整骨院やペインクリニックなどに訪ねてみると、「整形外科に行かれたことはありますか?」と必ず聞かれることがあります。)

そして現状を把握した上で、そのままその病院で、西洋医学的な治療を継続してもらうのか、あるいは、整骨院や整体、漢方薬などの、東洋医学的な治療で対処を行っていくのかを選んでみるとよいでしょう。

西洋医学的な治療では、素早く痛みを和らげ、肩の可動域を広げるための、ステロイドや局所麻酔剤の混合注射、神経ブロック、理学療法によるリハビリなどを、主として行い、重症であれば関節鏡を用いた手術も検討していきます。

東洋医学的な治療では、体全体の歪みや体質を診て、五十肩が起きた根本的な原因の改善に取り組むために、様々な手法や施術、あるいは、漢方の処方などを行なっていきます。










五十肩の状態と体質に合わせた漢方薬

とりわけ「漢方薬」は、他の様々な治療法と併用しながらでも、継続的に使っていくことで、かなりの効果が期待できるものと思われます。

漢方薬は、その配合する生薬の特性により、今の状態に合わせて痛みや炎症を緩和しながら、五十肩を起こしている根幹となる体質の改善に、アプローチしていきます。

さらに東洋医学では、腱板や筋肉の衰え、柔軟性の低下を、〝肝腎不足″という概念で捉え、そこに、肥満や飲食の不摂生、冷えや湿気などの外的要因が加わわることで、体内に痰や湿が停滞して、経絡の流れを妨げたり、またそれが肌肉や肩周辺にも集まりやすくなることで、五十肩という症状の素因が形成されていくと考えています。

その処方においては、五十肩の効能書きがある代表的な漢方薬の「独活葛根湯」や「二朮湯」のみならず、「桂枝加苓朮附湯」や「疎経活血湯」、「薏苡仁湯」、また、さらに長引いて瘀血状態が顕著に見られれば、「桂枝茯苓丸」などの活血化瘀剤をプラスしたりと、状態によって多種多様です。

使用の際には、専門の所でしっかり問診などを行った上で、処方を選んでもらって下さい。








現状を把握し、それに沿った行動を

五十肩の発症には、姿勢や骨格的な問題、筋肉や腱の問題、血流や神経による問題、水分代謝の問題、組織の老化による問題などなど、様々な要因が複雑に絡み合っています。

整形外科の先生でさえ、「自分の五十肩を治すのに、2年近くかかりました」と仰っている話も、何度か耳にしたことがあります。

治療で病院や整骨院に訪れた際には、詳しい検査はもちろんのこと、いつから、どんな姿勢の時に、どの部分が、どんな感じで、特にどの時間帯に痛むのかなどを、しっかりと先生に伝えることで、今の自分の五十肩の状態をきちんと把握することに繋げていきましょう。

そして、それに対する先生からのアドバイスをもとに、今は安静にしておく時期なのか、毎日少しずつストレッチ等を行っていくべきなのかを正しく理解して、日々の行動を心掛けていきましょう。

なかなか治らない、つらい五十肩からの脱却には、今の状態を正しく把握することと、それに沿った行動や養生をしていくことが、一番の近道であることは間違いありません。



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気になる症状の改善や緩和に適した、漢方薬や健康食品を、きちんとセレクトするために、カウンセリングにはしっかりと時間をかけて対応させて頂きます。
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(株) 大賀薬局ライフストリーム  漢方カウンセリング (担当) 梅川





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