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2021.9.10Let’s美腸活1.

星野晶子

大賀薬局 博多口店 薬剤師 星野晶子

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Let’s美腸活1.

毎日、お通じありますか?
お通じが、あった時のすっきり感、何ごとにも代えがたいと感じるのは私だけでしょうか。実はいい状態でお通じがあることが、心身ともに健康でいるために重要なのです。今回は、「便」と「便」を作って送り出す「」について3回に分けてお話しします。



腸の基本的な構造


腸は大きく分けて二つ、小腸大腸に分けられます。
小腸は、約6~8mあり、胃の出口の幽門(ゆうもん)から十二指腸が始まり、小腸全体の5分の2が空腸、5分の3が回腸と呼ばれています。空腸と回腸の内部には絨毛(じゅうもう)という突起があり、その絨毛はさらに細かい微絨毛(びじゅうもう)という突起でびっしり覆われています。食事で得た栄養素は小腸で主に吸収されます。
大腸は、約1.5mあり、お腹の右下から盲腸、結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)、直腸の順に肛門までつながっています。内部の総面積は、絨毛、微絨毛の効果で約32㎡メートル、テニスコート1面分に相当する面積が広がっています。私たちのお腹の中にテニスコート分の広さの腸があるなんでびっくり!!



脳腸相関


腸には約1億個の神経細胞が存在しています。人体においては脳に次ぐ多さです。腸のコントロールは、すべて脳が支配しているのではなく、腸が自ら判断を下す機能を持つことから「第2の脳」と呼ばれています。これらの腸管神経は、主に腸の動きを活発にする副交感神経の機能を持つ迷走神経を通じて脳とつながっており、逆に腸の動きを抑える交感神経は、脊髄の中枢神経とつながっています。
脳と腸の情報交換は脳からの一方通行ではなく、腸からも脳にメッセージを発信しています。これを「脳腸相関」といいます。腸の調子が悪いと脳にも悪い影響が出るのです。例えば、ストレスを感じていると腸の動きが悪くなったり、腸の動きが悪くなると脳が不安に感じたりと、お互いに影響を与え合います。うつ病の方に便秘が多いというデータもあります。



幸せホルモン「セロトニン」


人間の情緒に影響するホルモンにセロトニンという物質があります。目覚めを良くしたり、前向きな幸福感に影響を与える作用があるため「幸せホルモン」と呼ばれています。興奮物質のノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑えてイライラを起こしにくくしてくれる作用もあります。
この「幸せホルモン」、なんと腸管で約90%つくられており、残りの10%のうち8%が血液中の血小板、残り2%が脳内の神経にあります。すなわち、幸福で安定した精神状態を保つことに腸内のバランスが大きく影響しているのです。



腸の中のお花畑


私たちの腸内の環境を左右する腸内細菌は、人と共生関係にあります。私たちがとった食物から得る栄養素を餌に発酵することで増殖し、様々な代謝物を生成することで、人体の機能に大きな影響を与えています。この腸内細菌、腸壁の粘膜に約100兆個生息しています。総重量は約1.5キロ。腸壁の粘膜にびっしり、まるでお花畑(フローラ)のように見えるように生息していることから、「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれています。
腸内細菌には大きく分けて以下の3つに分類されます。
 善玉菌・・・代謝物が消化・吸収機能に役立ち、人体に良い影響を与える細菌
 悪玉菌・・・便秘や下痢を招いたり、代謝によって有害な毒素を作ったりする人体に悪影響を及ぼす細菌
 日和見菌・・・腸内細菌で最も多いグループ。善玉・悪玉のうち、数的に優位なほうに味方する。
腸内細菌の理想的なバランスは、善玉菌:日和見菌:悪玉菌=2:7:1
腸内細菌は圧倒的に日和見菌が7割で多いのですが、この日和見菌を味方につけるためには、善玉菌が2割を占めていればよいのです。この比率が逆転し、悪玉菌が2割を占めてしまうと、腸内環境が一気に悪化し、様々な弊害が起こってきます。



腸は外敵と戦う最前線地帯


コロナウイルスとの戦いが続く毎日、免疫力を高めることに意識が向かっている方も多くなりました。免疫力、すなわち私たちの免疫細胞の働きを良くすることには、腸も大きくかかわっています。実は、全身の免疫細胞のうち、約6割が腸に集まっています。そもそも食物というのは外から入ってくるもの。それを消化吸収している腸は、外から入ってくるものの入り口、すなわち私たちの体の「玄関口」です。
外敵を玄関でせき止めるために私たちの免疫細胞は腸に集まって仕事をしています。免疫細胞たちがしっかり仕事ができるようにするためにも、腸内環境を整えることはとても重要です。胃や十二指腸で消化液が十分に出てないと、未消化の食物が小腸に流入してきます。小腸の本来の役割である吸収作業がうまくいかなくなり、小腸の状況が悪化、免疫細胞たちも通常業務がしづらくなります。また、充分小腸で栄養が吸収されないものが大腸に入っていくと、悪玉菌のエサになって、悪玉菌が増え、大腸の環境も悪化、全身への影響が、悪玉菌からと免疫細胞の働き低下でダブルパンチです。



腸から老化が始まる?


生まれるときは腸内は無菌状態です。周囲の人との接触によって細菌感染するのです。そう、腸内細菌は遺伝しているわけではなく感染しているのです。ですから、生まれてすぐ接触した人に影響されます。母親はもちろん、出産時に取り上げてくださった産科医、助産師さん、看護師さんの腸内細菌が感染している可能性もあるのです。無菌で生まれた赤ちゃんは、こうして周囲の人からの感染で腸内細菌が決まっていきます。
幼児期にはほぼ腸内細菌のバランスが決まってしまい、大きく変化しなくなりますが、食生活、生活習慣などで微妙に変化します。この微妙な変化が大切。2割を占めるのが悪玉菌か、善玉菌かで、体調に大きく影響するのですから。ところが、60歳を過ぎると大きな変化が!!善玉菌であるビフィズス菌が減り始めて、悪玉菌である、ウェルシュ菌、大腸菌などが増え始めるのです。
まだ、詳細は解明されていませんが、加齢により、消化液が十分でなくなる、小腸の吸収量が低下するなど、消化吸収の力が低下してくると、小腸で吸収されるはずの栄養素が大腸に流れ込み、それを餌に悪玉菌が増殖し、腸内環境の比率の変化の原因になっていることが考えられます。 



腸年齢をチェック!!


以下の項目に該当している数が多いほど腸に負担がかかっている状態です。早速チェックしてみてください。

1. 朝食は食べないことが多い
2. 朝はいつも時間がない
3. 食事の時間は決まっていない
4. 外食は週4回以上
5. 野菜不足
6. お肉が大好き
7. 発酵食品をあまりとらない
8. アルコールを多飲する
9. トイレの時間が決まっていない
10. おならが臭い
11. タバコをすう
12. ストレスが多い
13. 運動不足
14. 寝つきが悪い。寝不足
15. 肌の色が悪い。老けて見られる
16. 肌荒れ、吹き出物が気になる
17. トイレではいきまないと出ない
18. 残便感がある
19. 便が固くて出にくい
20. コロコロ便
21. ときどき便がゆるい
22. 便の色が黒っぽい
23. 便が便器の底に沈む
24. 便が臭い

4個以下なら腸年齢は実年齢と同じ
5~9個は実年齢+10歳の腸年齢
10~14個は実年齢+20歳、15個以上は実年齢+30歳!!
腸年齢が高い人は生活習慣を改善していかないと大変なことに!?


次回は、腸内環境が体に与える影響と改善法についてお伝えします。
コラム「Let’s美腸活2.」

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星野晶子(漢方認定薬剤師、スポーツファーマシスト、NR・サプリメントアドバイザー、アロマセラピスト)
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