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2021.7.26眠りたいのに眠れない。その原因はどこにある?

梅川 哲朗

大賀薬局 ライフストリーム 漢方薬 梅川 哲朗

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眠りたいのに眠れない。その原因はどこにある?

梅雨も明けて、夏も真っ盛りとなり、夜は暑くて寝苦しい日も増えてきました。真夏に限らず、なかなか眠れないなどの不眠に関するお悩みは、一年を通じて、もっともご相談が多い内容の一つです。

昨年の7月には、不眠症の症状や様々なタイプ、そしてその予防や対策などについて、簡単にまとめた記事を書かせて頂きました。(こちらに関しては、以下の記事に軽く目を通して頂けましたら幸いです。)
《関連記事》「寝つきが悪い人、よく目が覚める人」



眠れない原因はどこにある?


眠くなる時間のはずなのに、なかなか眠れないのは、ほんとうに辛いですよね。
今回は、前回の話と少し重なる部分もありますが、眠れない原因はどこにあるのか、またそのことによって、なぜ眠れなくなってしまうのかについて、改めて考えてみたいと思います。

まずは、分かりきっていることになるかもしれませんが、ひとつには、周囲の騒音や照明の明るさ、夏の蒸し暑さやクーラーによる冷え過ぎなどの「環境的要因」と、熱や痛みやかゆみなどによる「身体的要因」が、不眠の原因としてあげられます。こういった場合は、眠れない理由が明確であるため、騒音や照明の遮断や室内の温度の調節、または、痛みやかゆみを一時的に抑える薬の使用などを行うことにより、その原因はとりあえず解消することができます。その他にも、なかなか眠れなくなってしまう原因にはいろいろなことが考察されます。


◆『ストレスや不安、考えごとなどの心理的なもの』
やや強いストレスなどの心理的な要因は、自律神経のバランスを乱し、交感神経を活発化させて覚醒を促すため、本来、夜のリラックス時に優位になるはずの副交感神経の働きを抑制してしまい、なかなか寝付けなくなるなど十分な睡眠を妨げてしまいます。


◆『飲食物の不摂生』
脂っこいもの・甘いもの・辛いものの食べ過ぎ、お酒の飲み過ぎは、胃や腸などの消化器系の中に、飲食物の滞り(食滞)を起こして熱を生じます。熱には上昇する性質があることから、徐々に頭の方へと上がって行って、脳の意識や精神といったところにまで影響を及ぼして、眠れない原因となってしまいます。

また、寝る前や夜遅い時間の飲食も、横になってもまだ、胃に残っているものの消化活動のために脳が働き続けてしまうので、眠りが浅くなるなどの大きな要因となります。
それから、コーヒーや濃いお茶などの取り過ぎや、飲む時間帯にも気をつけましょう。


◆『生活習慣のリズムの乱れ』
夜勤なども含めた、大きな時間差がある交代勤務制で仕事をしている人や、ついついテレビなどを遅くまで見たりして、夜更かしをしてしまう習慣がある人は、眠る時間がバラバラになったり、睡眠時間が短くなってしまうため、生活習慣のリズムの乱れによって体内時計にズレが生じて、眠りたい時間に眠れない状態を起こしてしまいます。

さらに、就寝間際まで、パソコンやスマホなどを見ていたりすると、ブルーライトの刺激で脳が覚醒されて、ますます寝つきを悪くすることになります。


◆『働き過ぎや加齢などによる滋養物質の減少』
過度な労働や加齢は、心や体の健康のバランスを保つ栄養物質(滋養をする物質)が消耗して不足させてしまうことにより、不眠症状を起こしてしまうことがあります。

過労は、体が疲れて休みたいのに脳はなかなか興奮が静まらず、うまく眠れない状態を起こすことにもなりますし、加齢は、だんだんと日中の活動量の減少を招くため、睡眠時間も必要量が少なくなって、睡眠の質の低下や浅い眠りを生じてしまうことも考えられます。


◆『女性ホルモンのバランスによるもの』
人の体は就寝時になると、少しずつ熱を放出しながら眠くなっていく性質を持っています。
特に、女性においては生理中に、女性ホルモンの1つであるプロゲステロンの分泌が増加することで、体温が上昇して寝つきにくくなるとともに、ストレスから守るホルモンのエストロゲンが少なくなってイライラすることも多くなり、眠れなくなるケースがあります。

そして今度は、閉経前後の更年期を迎える頃には、女性ホルモン全体の分泌が低下してきて、自律神経のバランスが乱れて、不眠に陥りやすくなってしまいます。このことからも、女性は男性よりも睡眠不足になりやすい傾向にあることが分かります。




漢方的視点での不眠の原因の捉え方


こうした眠れなくなる原因を、漢方的な視点で大きく分けて捉えてみると、体に外的要因が加わったことで起こる「実証の不眠」と、体のエネルギーや栄養物質の消耗や不足などによって起こる「虚証の不眠」に分類することができます。先に述べた、いくつかの原因においては、ストレスや飲食物などによるものは実証の不眠に、加齢や過労などによるものは虚証の不眠に当てはまるものと思われます。

実証の不眠は、やや急性的に起こることが多く、不眠を起こしている外的要因や、それによって発生した物質を、取り除くことを中心とした漢方薬での対処を行います。

虚証の不眠は、慢性的に起こることが多く、消耗し不足してしまった心(こころ)を補うための漢方薬を主として対処を行い、治療には少し時間がかかる場合もあります。思い当たる不眠の要素を色々と改善してみても、なかなか眠れない人や、なるべく睡眠薬や精神安定剤などへの依存を避けたい人には、それぞれの体質を判断して対処を行っていく漢方薬の活用がたいへん効果的です。





慢性化してしまう前に早めの対応を


昨今は、コロナ禍の不安や緊張で、体が疲れているにも関わらず、脳は興奮していて夜もなかなか寝つけなかったり、仕事でも自宅でのテレワーク等が多くなり、運動の機会も減った上に不規則な夜型生活になる人も増加傾向にあるなど、知らず知らずのうちに「睡眠リズム障害」を起こしてしまうケースが懸念されています。

なるべく規則正しい生活を心がけ、朝にきちんと起きて太陽の光を浴びるなどの、体内時計のズレを整える行動に努めましょう。

不眠の症状には、改めてその原因がどこにあるのかを、しっかりと把握・認識した上で対策を講じることが、改善への大きな近道だと考えます。





★カウンセリングについて★

気になる症状の改善や緩和に適した、漢方薬や健康食品を、きちんとセレクトするために、カウンセリングにはしっかりと時間をかけて対応させて頂きます。さらに症状の根本的な原因となる部分を認識するために、陰陽五行体質判定システム(税込1,000円)の活用による漢方カウンセリングも、ご希望に応じて行っております。

あなたのこれからの過ごし方が変わってくるかもしれません。

詳しくは下記の「漢方薬相談」の画面をタッチして、予約内容を一度のぞいてみて下さい
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(株) 大賀薬局ライフストリーム 漢方カウンセリング (担当) 梅川

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