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2021.6.11漢方薬で早めのケアを。梅雨につらくなる症状と熱中症への対策

梅川 哲朗

大賀薬局 ライフストリーム 漢方薬 梅川 哲朗

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漢方薬で早めのケアを。梅雨につらくなる症状と熱中症への対策

6月に入って、だんだんと梅雨らしい気候になり、すでに気温が30℃を超す地域も出てくるなど、夜は寝苦しい日も増えてきましたね。

四方を海で囲まれ、普段から「湿気」が入りやすい日本では、梅雨には、その湿度がピークとなって、私たちの体に影響を及ぼし様々な症状を起こします。

こうした体に不調をもたらす原因となる湿気のことを、漢方では「湿邪」と呼んでいます。

自然界の中に生きている限り、人間の体調は、時には天候や季節と密接にかかわり合います。

梅雨の時期にはこの「湿邪」の影響を受けて、何らかの不調を感じている人がたくさんいて、外がジメジメと湿った日が多ければ、人の体の中も、どこかしら水分が停滞しやすい状況にあります。




「湿邪」がきっかけで起こる様々な症状


体内に滞った水分は、身体に重だるい疲労感を与えると同時に、きちんと排出できない状態のままでいると、いたる所に「むくみ」となってあらわれてきます。

加えて、日頃から冷たい水分をたくさんとっている人や、もともと胃腸が弱い人は、その水滞が湿邪として胃や消化器系、いわゆる漢方でいうところの「脾」に影響して、下痢や軟便、食欲不振や消化不良などの症状を引き起こします。


さらに、脾は「肌肉」をつかさどる臓器でもあるため、皮膚病が出ると化膿したり、ジュクジュクした湿疹になりやすかったり、時には関節痛なども起こりやすくなります。

梅雨にこうした症状がいつもより強くあらわれたり、長引いてなかなか治らないように感じたら、その部位や状態に応じて湿邪を除去してくれる、漢方薬の活用がとても効果的です。


このことに関しては、昨年の6月に書いたコラムも一読頂けたらと思います。
《関連記事》「梅雨に起こりやすいむくみと不調について」




この時期から増えてくる「熱中症」


それからもうひとつ、この時期からは特に、上がり出す気温とともに増えてくる「熱中症」に対する予防や対策、そして、かかりにくい体づくりへの取り組みが重要です。

「熱中症」は、夏の炎天下のもと、仕事やスポーツなどで体を動かしている時だけでなく、直接日光があたらない室内で、じっとしている時にでも十分に起こり得る症状です。

梅雨のように湿度が高くて、その上に、あまり風も入り込まない状況となれば、体温は上がるけれども体の熱は逃げにくい状態となり、熱中症を発症しやすくなります。

これは、湿度が高い環境に長くいることで、体はうまく発汗ができなくなり、余分な水分が出せずに湿邪がたまりやすくなるのとともに、汗による体温調節機能も低下して、体に熱がこもってしまうことが、大きな要因だと考えられます。

とりわけ、体温調節を担う汗腺の働きが未熟な小さなお子さんや、加齢による体温調節機能の低下に伴い、暑さや喉の渇きを感じにくくなっているお年寄りなどは、熱中症にかかりやすい傾向にあるため、ご家族の方は十分に注意する必要があります。

尿の色が濃くて、臭いが強く、やや量も少なく出が悪い状態が続いていたり、舌の色が普段よりかなり赤く、あまり苔もなく乾いた感じになっていたら、体に熱がこもっているサインなので気をつけて見ておきましょう。




日頃の予防を意識した行動が大切


このような熱中症対策のカギとなるのは、普段からのちょっとした生活習慣での意識です。


もちろん、こまめな経口補水液などの摂取も、とても大切なのですが、ここでは、以前にも何度かお話させて頂いた、日頃からできる簡単な予防のための行動について、改めていくつかあげてみたいと思います。

◆『適度に汗をかく行動をする

高温多湿なこの時期に、汗をかくのは辛いと思われる方も多いでしょうが、涼しいエアコンのある所ばかりにいると、汗腺の機能がだんだんと退化して、その体温調節機能も衰えて、熱もこもりやすい体になってしまいます。
日頃から無理のない範囲で、適度に汗をかくことを意識して行動すると、体温を調節する機能も整い、室内外の温度差に対応できる体になり、熱中症の予防にもつながります。

◆『できるだけお風呂に入る

いつもシャワーで済ませることが多い人は、なるべくお風呂に入る機会を増やしましょう。
お風呂は、全身を温めて血液や水分の循環を良くしながら、体の中にこもった熱を発散してくれますし、自然な汗をかける環境も作ってくれます。
同時に、自律神経を整えてくれる効果もあるので、体温を調節する機能も向上します。

◆『冷たいものをとり過ぎない

ジメジメとした暑い日が続くと、何かしら冷たいものをとる機会が増えてきます。
そのことで、一時的に、暑さも和らぎ喉の渇きもおさまって、スッキリとした気分になって元気がでることも多いかと思います。
しかしながら、こうした機会が増えることで、内臓は冷えてその機能の低下を招いてしまい、体中に十分な水分を巡らす力が弱くなり、熱中症を起こしやすくなってしまいます。

特に、日頃からすぐにお腹をこわしやすい人は、下痢などで気づかないうちに、体が脱水ぎみの状態になるために、さらに気をつけなければなりません。
時々は常温などに変えてみて、水分摂取には冷たいものをとりすぎないようにしましょう。



漢方薬の活用も効果的


最後に熱中症の予防や対策に使える漢方薬を、いくつか簡単に紹介してみたいと思います。

・「五苓散」 体の必要な部分に、必要な水分を巡らせる利水薬。早めに飲むほど効果的。
・「白虎加人参湯」 口渇をおさえて全身の熱を冷ましながら、体を潤す働きがある。
・「生脈散」 中国では熱中症対策で点滴にも入れられている、体の体液と気力を補う薬。

他にも、もともと夏バテぎみの人に使う「清暑益気湯」や、「藿香正気散」、「黄連解毒湯」、「炙甘草湯」、「麦門冬湯」、「胃苓湯」といった処方なども状態に応じて活用できます。ひとりひとりの体質や今までの生活習慣、現在の体調等も考慮の上、早めに漢方薬でのケアを行うことにより、熱中症になりにくい体づくりが期待できます。




体の中もしっかり〝除湿″を


梅雨につらくなる様々な症状への対策も、熱中症に負けない体づくりも、汗による体温調節がちゃんとできて、体の中の湿邪やこもった熱をしっかりと出せる状態にすることが、最も重要なポイントとなります。

この時期には室内や住環境なども、日頃から除湿を心掛けるように、体の中もきちんと除湿を行って、憂鬱な梅雨の季節を元気に乗り切りましょう。





★カウンセリングについて★

気になる症状の改善や緩和に適した、漢方薬や健康食品を、きちんとセレクトするために、カウンセリングにはしっかりと時間をかけて対応させて頂きます。さらに症状の根本的な原因となる部分を認識するために、陰陽五行体質判定システム(税込1,000円)の活用による漢方カウンセリングも、ご希望に応じて行っております。

あなたのこれからの過ごし方が変わってくるかもしれません。

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福岡市中央区天神2丁目11-3 ソラリアステージビルM2F(中2階)
TEL 092-733-7231
(株) 大賀薬局ライフストリーム 漢方カウンセリング (担当) 梅川


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