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2021.1.22コロナ禍が続く中、私達に今できる抗ウイルス・感染症対策

梅川 哲朗

大賀薬局 ライフストリーム 漢方薬 梅川 哲朗

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コロナ禍が続く中、私達に今できる抗ウイルス・感染症対策

今もなお、コロナウイルスの感染は世界中で拡大の一途をたどり、なかなか収束に至る状況が見えてきません。

私達は日々の生活の中で、インフルエンザ等も含めた様々なウイルスへの対策として、普段よく言われている「マスク・手洗い・うがい」などの他に、どんなことができるでしょうか。

すでに周知の上、色々と取り組んでおられる方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで改めて、重ねて意識して行って頂くとよいことを、いくつかあげてみたいと思います。





マスク・手洗い・うがいの他にウイルス対策で意識しておきたいこと

1.《十分な睡眠時間をとること》

動物を数週間、眠らせないでおくと必ず死んでしまいます。それらを解剖して調べてみると体内に菌が増えて「敗血症」になっています。これは、眠れないことで細菌やウイルスから体を守る免疫機能が障害され、腸からの細菌の侵入を阻止できなくなってしまったことが原因だと考えられます。
免疫力は睡眠中に維持・強化されるため、睡眠時間が減ると体の抵抗力が落ちて、ウイルスなどに感染しやすく、症状も治りにくくなります。
また、睡眠時に出る成長ホルモンは、年齢とともに量は減りますが、細胞の修復や疲労の回復の役割を担っていることもあり、十分な睡眠時間の確保が大切です。

2.《湿度・温度を保つこと》

ウイルスは、喉などの粘膜から体に入り増殖していきます。その粘膜が、湿っていると抵抗力が十分に発揮されますが、乾燥していると表面の細胞が死んで剥がれ落ちてしまうので、簡単にウイルスの侵入をゆるしてしまいます。
インフルエンザなどのウイルスの予防には、気温が下がって乾燥する秋冬でも、(目安としては)室温を15~25℃、湿度を50~60%くらいに保ち、喉の粘膜の保護を心掛けることが、有効な手段の一つとしてあげられます。

3.《体を温めて血流を促進すること》

免疫力は、体温が36.5℃以上で活性化され、1℃下がると3割低下すると言われています。特にこの時期は、皮膚と血管の距離が近く外気の影響を受けやすい首・手首・足首を冷やさないように意識して行動しましょう。
1日の終わりなどには、なるだけシャワーではなくゆっくり湯船に浸かり、全身の血流の促進に努めるとよいでしょう。
また普段から、ウォーキング等の適度な有酸素運動を行って血流を促すことでも、リンパ球やNK細胞が活性化して免疫力が向上します。

そのほかにも、ストレスはできるだけ溜めないように心掛けることが重要です。ストレスは、血流や免疫力を低下させてしまいます。





漢方薬で免疫力を高めておくこともウイルス対策の一つ



ウイルスや細菌などによる感染症に対して、薬やワクチンがまだ無い時代には、漢方薬の服用が主流でした。
現代医学において、世界的にその有効性を証明する厳格な治験データやエビデンス(証拠)はまだまだ確立されておりませんが、それぞれの体質や症状なども念頭におきながら、漢方薬で免疫力を高めておくこともまたウイルス対策の一つだと考えます。

「日本感染症学会」のホームページには、すでにコロナウイルス感染症の漢方治療に関する文献も公表されています。その中には、免疫システムを活性化して向上させ、無症状病原体保有者の病原体陰性化への促進も期待できるという予防的見地から、「補中益気湯」や「十全大補湯」という処方の名前などがあげられています。

さらに漢方的概念においては、5月のコラムでも少し触れましたが、体内の感染症に対する防衛反応や免疫力を担う「気」を高める「黄耆建中湯(オウギケンチュウトウ)」などに、抗ウイルス・清熱解毒作用のある「銀翹散(ギンギョウサン)」や「板藍根(バンランコン)」等を合わせて飲むこともたいへん効果的だと言われています。

漢方薬ご利用で気をつけること
しかしながら、持病のある方や高齢者にとって、予防によいと言うだけで、こうした漢方薬をただ漫然と飲むことは、飲み合わせや過剰摂取による副作用の危険性も大きいため、それぞれの体質をしっかりと把握した上での処方や服用量の選定が重要となってきます。
例えば、胃腸が弱い疾患をお持ちの方なら「藿香正気散」、冷えやすく熱を作り出す力が弱い高齢者なら「麻黄附子細辛湯」といった処方などで、服用量や期間も加減しつつ、弱いところを守りながら本来の免疫力を立て直し、感染のリスクを下げていくことが最優先です。

ひょっとしてコロナかも?

今、皆さんがいちばん不安に感じてしまうことは、もし、少しでも風邪っぽい症状が起こり始めたら、「ひょっとしたらコロナかも?」と考えてしまうことではないでしょうか。

すぐに検査をしてもらえない状況があったりとか、その検査をする人が集まる病院自体に行くことに不安があるという話もよく耳にします。

コロナウイルスも、重症度はそれぞれ違えど、ウイルス性の風邪症候群の一種です。

風邪やインフルエンザの予防や初期治療において、抗ウイルスや解毒・弱毒作用など、多くの実例がある漢方薬を、風邪っぽい症状を感じたらすぐに服用することで、どのウイルスに対しても同様に、自分の免疫力の方が上回ったり、仮に罹患しても症状が軽くてすんだりする可能性は十分にあると考えられます。

その際にはまず、最初に寒気などの悪寒を感じれば「葛根湯」や「麻黄湯」等を、喉の痛みや熱感を強く感じれば「板藍根」や「銀翹散」といった処方を、上手に症状を見極めながら活用することを頭に入れておくとよいでしょう。

コロナに関しては、ワクチンの開発も進んできましたが、一方で変異株なども現れはじめ、まだ何が本当に最も効果的なのか、定かでない状況がしばらくは続くものと思われます。

マスク・手洗い・うがいの励行や普段からの養生で、日頃のウイルス対策に取り組んでいくことに加え、バスや電車の交通手段や仕事先、買物先などといった、人がたくさん集まる所にどうしても行かなければならない時には、過去の感染症対策の実績からも、一定の効果が期待できる漢方薬を、ぜひ「積極的な予防策」として取り入れてみてはいかがでしょうか。




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コメント

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  • ヴィアンナ

    板藍根はウイルスに効果とすすめられ服用ーよいでしょう位の理解でしたがー専門家による作用の説明をいただきー更に安堵致し 感謝致します。銀翹散も試みたく存じます????有り難う御座います????

梅川 哲朗

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