コラムCOLUMN
加齢に伴い発症する疾患の1つに『骨粗鬆症』があります。日本には推定1100万人にも及ぶ骨粗鬆症患者がいるとも言われています。高齢化がさらに進む日本において患者数は更に増えることが予想されます。
骨は見た目上変わらず維持しているように見えますが、常に骨の分解(骨吸収)と骨の作成(骨形成)を繰り返しています。そのバランスが保たれているため維持できています。このバランスが崩れたときに骨密度の低下が起こります。骨密度の低下には加齢に加えて、女性ホルモンの減少が深く関わっていると考えられています。その為、閉経後の女性で多くみられます。
骨粗鬆症治療薬や予防薬には、飲み薬や注射薬がありますが、今回はよく処方される飲み薬の2種にフォーカスして書いていこうと思います。
『骨粗鬆症』に処方される飲み薬
●活性型Vt.D3製剤:エディロール(エルデカルシトリオール)
・食事由来等のCaは本来体内へ吸収しにくい。そのCaの小腸吸収を助けてくれるのが活性型Vt.D3。
・骨を作る方(骨形成)を補助する薬。
・「活性型」というのがポイント。すぐに強く働ける状態だよ!ということ。
・注意点は、体内のカルシウム濃度が上がるという事から、尿路結石リスク(高カルシウム尿症)・高カルシウム血症リスクがあること。
※高カルシウム血症の初期症状:いらいら、倦怠感、食欲不振etc.
→長期服用する場合は、定期的に血液検査で血中カルシウム数値も診てもらいましょう。
●ビスホスホネート系製剤:フォサマック、ボナロン、アクトネル、ボノテオ、ベネット等
・破骨細胞の活動を抑制し、骨が壊れる方(骨吸収)を抑えてくれる薬。
・毎日服用するタイプ、週1回服用するタイプ、月1回服用するタイプがある。
・服用する際の注意点が多い。
[起床時すぐ服用]
→元々消化管からの吸収率が悪い上に、食事の影響を受けやすく食後服用では吸収がさらに下がってしまい効果が減弱してしまう。
[コップ一杯(約180cc)の水で服用]
→少ない量の水では食道でひっかかってしまい、粘膜刺激性も有する為、胸やけ等の不快感や消化性潰瘍を起こす危険がある。胃まで到達させる為に十分な量の水が必要。
[服用時は水道水もしくは真水でお茶・ジュース・硬度が高いミネラルウォーターは避ける]
→マグネシウムやカルシウムを多く含む硬度が高い物だと成分とくっつき体内への吸収に影響を及ぼす。
[服用後最低30分は横にならない、座位はOK]
→服用後の成分が逆流すると、上部消化管(のど)粘膜障害を起こしてしまう危険がある。
「ビスホスホネート系薬」について
ここで、様々な制限のあるビスホスホネート系薬でのよくある質問と解決策を挙げます。
Q.水道水は塩素臭いし、買うとしたらどんなミネラルウォーターで飲んだらいいですか?
A.水道水の硬度が約66程度。軟水と言われるものが硬度0~60。「軟水」と表記してあれば硬度は0~120の間(中程度の軟水も含め)になるはずです。薬にほとんど影響を及ぼさず効果を最大限発揮させる為には目安硬度60以下の水を買って服用することがおすすめです。
Q.起床時に飲み忘れた場合はどうしたらいいですか?
A.1日1回製剤の場合:その日は服用せず、翌日から再開してください。
週1回製剤の場合:その日は服用せず翌日に服用。次回予定日は変えない。
月1回製剤の場合:その日は服用せず翌日に服用。飲み忘れに気づいたのが次回服用予定日まで7日以内だった場合は、忘れていたその1回分は服用せずパスして、次回服用から予定通り再開してください。
毎日だから忘れる人もいれば、週一回だから忘れる、月一回だから忘れる、といった個人差があると思います。頻繁に飲み忘れが発生する場合は、自分の生活スタイルにも合った薬のタイプを主治医の先生と話し合って決めましょう。
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