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2020.8.15夏バテかも?と感じたら…

梅川 哲朗

大賀薬局 ライフストリーム 漢方薬 梅川 哲朗

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夏バテかも?と感じたら…

8月も後半に入り、暦の上ではもう立秋も過ぎてしまったのですが、まだまだ日中は、残暑とは思えないくらい蒸し暑い日々が続いていますね。
この時期の疲れといえば、「夏バテ」という言葉が、真っ先に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか





夏バテとは?

「夏バテ」は、「夏負け」や「暑気あたり」といった言葉でもよく表現されています。

敢えて使い分けるとしたら、「夏負け」や「暑気あたり」は夏の暑さにやられて体調を崩した状態のこと表し、「夏バテ」はバテるという言葉からも分かるように、夏の期間を通して体力が消耗し動けなくなるほど疲れ果てた状態のことを表しています。

また、この「夏バテ」という表現は、昭和30年代辺りから世の中にエアコンというものが普及し始めて、快適な環境に慣れてしまった体が、外との温度差に対応できなくなり色々と不調が現れ出した頃から、よく使われるようになった意外と新しい言葉のようです。

こうした現代の夏バテの原因やその症状は、「暑さ」にやられて起こる疲れ・だるさ・頭痛・めまい等の症状から、クーラーによる「冷えや温度差」で体温を調節をする自律神経が乱れて起こる諸症状、ひいてはコンビニなどのおかげで手軽に取れるようになった「冷たい物の取り過ぎ」による胃腸障害や下痢に至るまで、かなり多様化してきています。

加えて、夏バテの症状が進むと、普段から持病をお持ちの方などは悪化したり、潜んでいた症状が現れ出す引き金となってしまうので、十分な注意が必要です。





夏バテの予防

日頃の生活における夏バテの予防に関しては、バランスの良い食事やビタミン・ミネラル等の摂取、上手に水分を取りながらも冷たい物の飲食を控える、十分な睡眠や休息をとる、冷房を外の温度より5~7度以上下げない等々、いくつかの方法が考えられます。

中でも特に効果的なのは、「お風呂に入ること」と「適度に汗をかく行動をすること」です。
お風呂に入ることは、全身の血流を良くして疲労を回復し、冷えを解消しつつ、こもった熱を発散してくれます。そして自律神経を整え、免疫力を上げてくれます。

それから適度に汗をかく行動をすることは、体温を調節する機能を整え、室内外の温度差の変化にも適応できる体を作るので、熱中症の予防にもつながります。無理のない範囲で、できる限り屋外で、自然な汗をかける行動を意識してみるのも良いでしょう。

因みに、夏にエアコン完備の中でばかり生活していると、体温調節機能が衰え、汗をかくために必要な「能動汗腺」が退化して、低体温になり免疫力が低下してしまいます。
この「能動汗腺」の数は2歳半くらいまでに出来上がると言われているので、子供を平熱の高い免疫力のある体に育てるためには、熱中症に十分に気をつけながら、夏にちゃんといい汗をかかせることが大切です。


このような対策をとっていても夏バテの症状を強く感じてしまう時に、いざ病院に「何か薬はないですか?」と受診に行くことになってしまっても、夏バテという病名は存在しないし、西洋医学の薬もないため、元気がでそうな点滴を打つくらいで終わることも多いそうです。

そんな時には、漢方薬による治療が功を奏します。






漢方薬と夏バテ

東洋医学では夏バテを、主に梅雨から夏にかけての高温多湿な気候による過剰な暑さ(暑邪)と日本特有のジメジメした過剰な湿気(湿邪)が原因だと捉えて処方を行っていきます。
さらに、冷たい物をたくさん取りたくなる今の季節に、この気候の影響で一番ダメージを受けやすい臓器は「胃腸」とも考えて、胃腸を元気にする生薬を含んだ漢方薬を積極的に投与していきます。

確かに疲れると食欲がなくなったり、冷たい物の過剰摂取で冷えすぎると胃腸は弱くなりますし、胃腸は気力を生み出し血を作る源となる臓器なので、とても理にかなった考え方だと思います。

そんな夏バテによく使われる処方の一例としては
・最もポピュラーな典型的な夏バテなら「清暑益気湯」や「補中益気湯」、
・食欲がなくやや消化不良ぎみなら「六君子湯」、
・寝冷えや夏風邪っぽい症状があれば「藿香正気散」、
・下痢やむくみがあれば「五苓散」、
・めまいや頭痛を伴えば「半夏白朮天麻湯」、
・水分を取り過ぎお腹をこわし、胃腸が冷えていれば「人参湯」
・ほてりが強く、喉が渇き、熱中症のような症状があれば「白虎加人参湯」
・クーラーに弱く体温調節がうまくできない自律神経失調型なら「柴胡桂枝乾姜湯」


などが代表的なものとしてあげられます。どの漢方薬においても、今、いちばん治しておくべき辛い症状(主訴)を中心に、ひとりひとりの体質に合ったものを考えながら処方の選択を行っていきます。

夏バテが長引いてしまうと、その症状のピークが秋にずれ込んでしまい、1日の急激な寒暖差などによる、自律神経失調症の要素がだんだんと強く現れるようになってきます。この時期の夏バテの症状にきちんと対処をしながら、しっかりと治していくことが望ましいと考えます。





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梅川 哲朗 (登録販売者・九州中医薬研究会会員・国際中医臨床薬膳師)
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