コラムCOLUMN
コロナが蔓延していた頃からの、様々な規制も、今ではすっかり解除されて、以前のようにマスクをはずして行動できる社会へと戻りつつあります。
そんな中、長い間、マスクを着けなければならなかった生活から、久しぶりに着けなくていい生活になって、〝ふと「口臭」が気になり出してきた″という方も増えているようです。
ご存じの通り口臭は、主に、ニンニクなどの強いニオイのものを食べた時の〝外的要因″や、口の中の虫歯や歯周病などの〝病気的要因″によって起こることが、よく知られています。
しかしながら、食後のケアや口腔内のケアを、日々しっかりと行っているにもかかわらず、何となく「自分の息がくさい」と感じたり、こっそり身近な人から「しゃべると臭うよ」と教えられ、理由が分からず悩んだ経験がある方も多いと耳にします。
マスクをしなくなることで、当然、自分の息のニオイを周りには感じ取られやすくなります。
虫歯や歯周病、口にしたもの以外でも、口臭の原因となるものにはどんなことがあるのか、以下にいくつかあげてみたいと思います。
生活習慣や体質が起こす口臭
◆『口呼吸をしがちになっている』
まずは、今まで常にマスクをした行動が強いられていたため、いつの間にか口を開いた状態で、ついつい「口呼吸」をしがちな傾向にあったことが、原因の可能性として考えられます。
口呼吸が増えると口内が乾き、唾液が減少して口臭が起こりやすくなります。唾液には口の中の殺菌・洗浄効果があるため、減少することで雑菌が増殖し臭いが抑えられなくなります。
わりと若い頃から白髪が目立ち出した方などは、家系や両親からの「遺伝」による体質もあって、もともと髪のメラニン色素が作られにくかったり、取り込まれにくかったりする場合があります。
◆『継続的なストレスや緊張状態』
仕事や私生活などで、長くストレスが続いていたり、不安や緊張状態にさらされたりすると、自律神経のバランスが乱れ、交感神経が高まってしまうことで、唾液の分泌が抑制されて、口臭が起こりやすくなります。
◆『生理やホルモンバランスとの関連』
女性は特に生理前や生理中などに、唾液量の調整に関わる「エストロゲン」というホルモンの分泌が低下してしまうため、口内が乾燥しがちになり、口臭が目立ちやすくなります。
また、このエストロゲンは、逆に排卵期や妊娠期などには極端に増加して、歯周病菌を増殖させて、口臭につながることも指摘されています。
◆『胃腸の弱りや消化不良』
連日の食べ過ぎや、脂っこいものなどの偏った食事で、胃や腸に負担がかかり、消化しきれていないものが胃腸に停滞したままの状態となり、そのニオイが上がってきて口臭になることがあります。
◆『加齢による潤い不足』
人は加齢とともに、体を潤す物質が減少していってしまうため、唾液の量も減って口も乾きやすくなり、口臭も発生しがちになります。〝年を取るごとに口のニオイが目立ち出す″とよく言われるのには、歯周病の進行や、内臓の弱りなどと合わせて、こうした「加齢による潤い不足」が大きな原因の1つとして考えられています。
◆『ダイエット中や、空腹が続いた時』
ダイエット中に栄養が不足すると、体は、脂肪酸からエネルギー源となる「ケトン体」という物質を作り出し、それが肺から空気中に排出される際には強いニオイ(ケトン臭)を放つため、口臭になると言われています。また、空腹が続いた時にも、同様のことが起こります。
◆『極度な疲労が続いたり、かなり溜まっている時』
疲労がかなり続いていたり、溜まっていたりすると、先に述べたダイエット時などと同様に、エネルギー源の不足が生じて、口臭があらわれやすくなります。よく〝ひどく疲れた時には、口臭があるような気がする″と言われるのは、このような原因によるものと思われます。
◆『慢性的に扁桃炎がある人』
喉の奥にある「扁桃」の部分に炎症が続くと、その表面のあたりに〝膿(うみ)″がたまりやすくなります。この膿がポツポツとした白い塊の「膿栓(のうせん)」と呼ばれるものになり、中には細菌の死骸や食べかすも混ざっているため、口臭の原因になることがあります。
その他にも、歯のかぶせ物の経年劣化、コーヒーや酒の飲み過ぎで口内が乾いて起こる唾液の減少、口の中の悪玉菌が増えすぎて細菌バランスが崩れていること(そのため、近頃では善玉菌配合のハミガキもあるようです)などが、口臭の原因となるようです。
簡単なチェック方法と日頃からの対策
実際に、自分の口臭がどれぐらい強いのか、気になる時の簡単なチェックの方法としては、ビニールやコップにしっかり息を吐いて閉じ込め、10秒ほどしてそのニオイを確かめたり、清潔にした手で歯ぐきや舌の上を触り、そのニオイをかいでみるなどの方法があります。
また、そうした口臭への日頃からの対策としては、ゆっくりよく噛んで食べることや、こまめに水を飲むこと、簡単な口のトレーニングなどに意識して取り組むことが大切です。
漢方薬で原因となる体質の改善を図る
またさらに、その場その場で、ただ口臭を抑えるのではなく、それぞれの根本的な原因に対して改善をはかるのには、漢方薬も効果的です。
たとえば、唾液不足が原因の口臭でも、「五苓散」や「白虎加人参湯」などの他に、加齢がきっかけなら「麦門冬湯」や「六味丸」、ストレスがきっかけのようなら「柴胡桂枝湯」や「竜胆瀉肝湯」、また、胃の弱りや消化不良が原因なら「六君子湯」や「半夏瀉心湯」、更に、歯槽膿漏や歯肉炎といった口腔自体が原因なら「排膿散」や「桂枝五物湯」等々...。
ほんの一例をあげてみましたが、漢方薬は、一人一人の異なる体質を考慮の上、それぞれに使い分けて、原因への対処を行っていくことができます。
その他にも、漢方薬以外でも、「クマ笹エキス」や「クロロフィル」などの製剤が、口臭体質の改善に効果的だと言われています。
口臭は健康のバロメーター
どんなに健康な人や、どんなに清潔な人でも、多かれ少なかれ、ある程度の口臭はあります。
人並み程度なのに気にしすぎて、そのストレスで唾液の分泌が減り、かえって口臭の原因にもなることも決して少なくありません。
気になる口臭は、それぞれがその原因をきちんと把握して、しっかり対策をとっていれば、十分に防げるものと思われます。
それでも、口臭が繰り返すようなことがあれば、内臓の病気が潜んでいる可能性もありますので、早めに医療機関で受診して下さいね。
口臭は、お口や体の健康のバロメーターです。
★カウンセリングについて★
気になる症状の改善や緩和に適した、漢方薬や健康食品を、きちんとセレクトするために、カウンセリングにはしっかりと時間をかけて対応させて頂きます。
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(株) 大賀薬局ライフストリーム 漢方カウンセリング (担当) 梅川
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