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2021.9.28秋の養生と症状に応じた漢方薬の活用

梅川 哲朗

大賀薬局 ライフストリーム 漢方薬 梅川 哲朗

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秋の養生と症状に応じた漢方薬の活用

外はだいぶ涼しくなって、日差しのある時間帯も過ごしやすくなってきましたね。
この時期、何となくは分かっているものの、どんなことに気をつけながら、体調を崩さないように毎日の生活を送ったらよいのでしょうか。



養生を意識した行動を心掛ける



漢方医学などの理念も含め、私たちが日々の健康を維持していくための行動の中には、常に「養生」という考え方が、そのベースに存在しています。この「養生」という言葉は、建築などの現場では、シートやテープで周囲が傷つかないように保護をすることの意味で使われており、みなさんもよくご存じかと思います。もともとは「本来あるべき姿でいられるように保護をすること」という意味を指していて、その対象が人になれば、「健康に留意して元気に生活できるように努めること」あるいは、「病気やケガの回復に努めること」という意味合いになります。

これからの季節の〝養生法″については、秋の前半(初秋)と後半(晩秋)では、少し異なってくる部分もありますが、昨年(2020年)の10月に、秋に起こりやすい病気や症状の予防等について書いた、以下のコラムをご一読の上、参考にして頂ければと思います。
《関連記事 2020.10.15投稿》 「秋に気をつけたい病気や症状とその対策について」




秋に多くなる症状にあわせた漢方薬の活用


では、秋には、どんな症状が増えて、どのような漢方薬が使われることが多いでしょうか。以下に、よくある症状と代表的な漢方薬の例を、いくつかあげてみたいと思います。


◆『胃や消化器系の不調』

これは、以前に「季節の変わり目に体調を崩しやすい人」というコラムでも話したのですが、夏にかなり無理をした人や、冷たいものをたくさんとって体の中を冷やし過ぎた人などは、食欲の秋にもかかわらず、胃や消化器系の不調を訴えることが多くなります。
さらに、今までずっとクーラーの効いた環境の中にいた人は、体が冷えを抱え込んだままの状態のため、そうした不調がなかなか改善できません。冷えを緩和しながら胃腸を整える、平胃散と五苓散を合わせた「胃苓湯」や「六君子湯」、「人参湯」、「補中益気湯」などの漢方薬を、症状や体質に応じて使い分けるとよいでしょう。


◆『不眠や気分の落ち込み、倦怠感』

秋も深まり朝晩の気温差が激しくなることで、自律神経のバランスが崩れやすくなります。加えて、だんだんと日照時間も短くなるので、日光を浴び増加して精神の安定をもたらす、「セロトニン」の脳内での分泌量も減少傾向になってしまいます。。そのため、憂うつ感や気分の落ち込み、不眠や倦怠感などの症状があらわれやすくなります。漢方薬では、主に気の流れをよくして自律神経のバランスを整え、セロトニンの分泌を減らさないことなどを中心に考えて、「加味帰脾湯」「抑肝散」「半夏厚朴湯」「柴胡加竜骨牡蛎湯」「四逆散」「甘麦大棗湯」といった処方がよく用いられます。


◆『長引く咳や肌のかゆみなど、乾燥による症状』

「風邪やコロナでもないのに、空気の乾燥により、バスや電車、静かな会議室などの中でも、急にが出てしまう....。」秋はそんな人にとっては、特につらい季節です。おまけに、外気に真っ先にふれる肌も、乾燥でカサカサしてきてかゆみも出やすくなります。この季節に長引く咳には、気道や肺を潤し、気管の炎症も和らげながら咳症状の改善に導く「麦門冬湯」「滋陰降火湯」などが、また、肌の乾燥を起因としたかゆみには、「当帰飲子」「温清飲」「温経湯」といった漢方薬が効果的です。


◆『筋肉のこわばりや痛み』

先にも述べたように、秋は1日の中での寒暖差がかなり激しく、急な冷え込みによる首筋のこわばり肩こり筋肉痛関節痛なども起こりやすくなります。
重ねて台風の接近も多い季節のため、強い低気圧による自律神経への負担が、血管の収縮や拡張に過剰な影響を及ぼし、神経や古傷を刺激し痛みが起こりやすいとも言われています。冷えによる筋肉のこわばりや痛みを中心に、その痛みのあらわれ方や部位なども考慮しながら、「桂枝加苓朮附湯」「牛車腎気丸」「五積散」「疎経活血湯」「麻黄附子細辛湯」などの漢方薬が、症状の治療や緩和に有効に使われています。


その他にも便秘や下痢、痔や食中毒などの腸にかかわる症状や、さらには次回、少し詳しく話をさせて頂こうと思っている花粉のアレルギーなども、秋に増えてくる症状の1つです。また、そうした症状にも、漢方薬の有用性が期待されます。〝秋″という季節は、夏の間に暑さで失ったエネルギーをきちんと回復させて、冬の厳しい寒さに耐えられる体づくりを、しっかりと行うための期間でもあります。日中はポカポカと暖かい日であっても、決して朝晩の冷え込みへの対策を怠らず、秋の養生を意識した行動を心掛け、次の季節に備えた生活を送りましょう。




★カウンセリングについて★

気になる症状の改善や緩和に適した、漢方薬や健康食品を、きちんとセレクトするために、カウンセリングにはしっかりと時間をかけて対応させて頂きます。さらに症状の根本的な原因となる部分を認識するために、陰陽五行体質判定システム(税込1,000円)の活用による漢方カウンセリングも、ご希望に応じて行っております。

あなたのこれからの過ごし方が変わってくるかもしれません。

詳しくは下記の「漢方薬相談」の画面をタッチして、予約内容を一度のぞいてみて下さい
(※ネット予約に限らず、お電話でも、気軽にご予約下さいませ! TEL 092-733-7231)




福岡市中央区天神2丁目11-3 ソラリアステージビルM2F(中2階)
TEL 092-733-7231
(株) 大賀薬局ライフストリーム 漢方カウンセリング (担当) 梅川

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