タバコを吸うと、癌や動脈硬化など重大な病気のリスクが高くなる事は知られています。止めたいけど止められないという方や、禁煙にチャレンジしたけど上手くいかないという方も多い。最近では、テレビCMでもお馴染みの「お医者さんと一緒に禁煙」が注目を浴びています。
予防医学の一環として「禁煙外来」に取り組む永光クリニックの永光先生にお話を聞いてきました。
―タバコを吸うことでの健康リスクについて教えて頂けますか。
タバコの煙が直接触れる場所である肺癌や喉頭癌のリスクが高まることは知られていますが、タバコには60種類以上の発癌性物質が含まれているので煙が直接触れない部位の食道癌や膵臓癌のリスクも高まります。他にも脳卒中や心筋梗塞なども吸わない人に比べて2倍から3倍程リスクが高まるデータが出ています。またタバコ病ともいわれている COPD などは、慢性的に痰や咳がでる症状も喫煙による健康リスクの一つです。
―「禁煙」外来に来る方のやめたい動機は健康が目的ということですね。
自分の健康の為という方だけでなく、パートナーや子どもの健康を考えて禁煙したいという人、経済的な理由を挙げられる方も多いです。1日1箱吸う方の場合、300円の30日で9000円ですし、10月から煙草の値上がりが決まって、これを機に禁煙にチャレンジしたいという方も多いようです。また、タバコは美容の敵でもあります。双子の女性でタバコを吸う・吸わないで数年後に大きく違ってくるという報告もあります。
22歳の双子が40歳まで喫煙した場合(左)と喫煙しなかった場合(右)にどんな顔貌になるかを特殊メイクでシミュレーションした写真。(英 BBC が 2001年に作成。)
―双子でこんなに違うって、タバコの影響は凄いですね。違いをみたら禁煙しなきゃって思いました。しかし「禁煙する」と決心しても、意志が弱いとなかなか止められない方が多いのでは?
タバコを止められないのは、意志が弱いのではなくニコチン依存症という病気だからなんです。脳には、ニコチンが結合すると快感が生じるα4β2ニコチン受容体があります。
ニコチンがα4β2ニコチン受容体に結合すると、快感を生じさせる物質(ドーパミン)が放出されます。これが繰り返されてニコチン依存症となります。ニコチン依存症は、風邪とかと同じように病気の一種ですから、自分の意志だけではなかなか止められないのです。
また、禁煙をはじめると、「イライラ」や「集中できない」といったニコチンが切れ症状(禁断症状、離脱症状)が現れますが、禁煙の薬を使うことで、ニコチン切れ症状が軽くなるので比較的楽に禁煙できるのです。
―これまでにも禁煙パッチや禁煙ガムなどが販売されていますが、どう違うのですか。
ニコチンガムやニコチンパッチは、禁煙中にタバコの代わりにニコチンを補給することでイライラなどのニコチン切れ症状を軽くします。
当院ではニコチンを含まない飲み薬で、イライラなどのニコチン切れ症状を軽くするほか、タバコをおいしいと感じにくくする薬を処方しています。飲み始めの1週間はタバコを吸いながら服用して、禁煙を開始するのは1週間後からで、おおよそ服用期間は3ヶ月です。

図:ニコチンの作用と、飲み薬(チャンピックス)の作用について
禁煙外来は、一定の条件を満たせば、健康保険が適用されます。保険を使った場合禁煙治療にかかる費用は自己負担分3割として、約3ヵ月で18,000円程度です。1ヶ月だと6000円前後で毎日タバコを吸う方なら、タバコ代より少し安い位ですね。
―健康保険適用の条件とはどのようなものですか。
ニコチン依存症を診断するテスト、アンケートのようなものですが、10項目中で5点以上ということと、1日の喫煙本数に喫煙年数を掛けた数値が200以上、禁煙の意志があることなどです。
―ニコチン依存症かどうかを診断した後、禁煙治療はどのような流れで行われるのですか。
まず、肺の中の一酸化炭素の量を測定します。そのほか健康状態や喫煙歴、禁煙歴など問診をして、お薬を処方します。時間にして20分くらいです。また最初の1週間は、タバコを吸いながらで良いので、精神的にも楽にスタートできます。薬での治療では、タバコを美味しくないと感じますので、実際に治療を受けた方の多くは、1週間もしないで禁煙している事が多いです。
それから2週間後に2度目の診察を行います。一酸化炭素の計測や禁煙継続のアドバイスをします。後は1ヶ月毎に診察し、3ヶ月で禁煙治療は終わります。
―はじめに吸っても良いというので、気持ち的に楽に始められそうですね。大賀薬局でも禁煙キャンペーンとして、8月に店頭で、禁煙パッチを進呈します。(詳しくはキャンペーンページで。)禁煙パッチの効果はどうでしょうか。
禁煙パッチには、医師が処方するタイプと、薬局・薬店で購入するタイプがあります。ニコチンの量に違いがありますが、どちらもニコチンを皮膚から吸収することで禁煙中のイライラを抑えたりします。1日1回、上腕やお腹、背中などに貼りますが、皮膚のかぶれを防ぐため、毎日貼る場所を変えたほうが良いですね。薬店などで購入して気軽に始められるので禁煙外来に来られた方でも経験している方もいらっしゃいますね。
―永光クリニックさんでは、今回お話頂いた禁煙外来や、前回お聞きしたサプリメンとアドバイス、内視鏡検査など、病気にならないための予防医学としての診療を多く取り入れていますが、子宮頸がんワクチンの接種も行っていますね。
女性の子宮の入り口付近に出来る癌のことを子宮頸がん(しきゅうけいがん)といいます。
子宮頸がんになってしまうと、子宮や子宮のまわりの臓器を摘出しなければならなくなることがあります。進行してしまった場合は、生命そのものに対して重大な影響を及ぼすおそれがあります。しかし、現在は子宮頸がんは予防ができるがんです。また、定期的に検診を受けることで、がんになる前に発見し、子宮を失わずに治療することが可能です。
ワクチン接種で、発がん性HPVの感染から長期にわたってからだを守ることが可能ですが、すでに感染しているHPVを排除したり、子宮頸部の前がん病変やがん細胞を治す効果はなく、あくまで接種後の感染を防ぐものです。
―ワクチンは1回でいいのですか?
子宮頸がん予防ワクチンは、肩に近い腕の筋肉に注射します。1~2回の接種では十分な抗体ができないため、半年の間に3回の接種が必要です。(2回目は初回から1ヶ月後、3回目は初回から6ヶ月後に接種します。)しかし、接種期間の途中で妊娠した際には、その後の接種は見合わせてることとされています。ただし、3回目だけ残っている場合は、出産後行っても構いません。(十分効果があります)
―子宮頸がんになった場合の治療方法は。
子宮頸がんの治療法は、主に手術療法、放射線療法、抗がん剤による治療があります。がんの部位や進行状況、年齢、合併症の有無などによって治療法を決定します。0期またはIa1期までのごく初期に発見できれば、子宮頸部(けいぶ)の一部を切り取る手術(円錐切除術)だけで済み、妊娠も出産も可能です。Ia2期以降になると子宮の全摘出を行なうようになり、II期では卵巣や卵管も含めて子宮をすべて取り除く手術(広汎(こうはん)子宮全摘)が必要になります。また、さらにがんが進行した場合、放射線治療や化学療法が行われます。
しかし、他のがんと違って、子宮頸がんは原因が解明されているがんなので、予防が可能な病気です。子宮頸がんワクチンが、一般の医療機関で接種できるようになったことで、未然に予防できるので、是非、受診して頂きたいですね。
ー禁煙や子宮頸がんワクチンなど病気を未然に防ぐお話ありがとうござました。また今後も健康に関するアドバイスをよろしくお願いします。
「禁煙外来」や「子宮頸がんワクチン」について詳しく知りたい方は『永光内科胃腸クリニック』へ
プロフィール

- 永光内科胃腸クリニック 院長 永光 彰典
- 院長略歴
・長崎大学医学部 卒業
・熊本大学 医学博士 取得
・熊本大学医学部付属病院入局
・公立玉名中央病院
・高野病院 総合検診センター
・日赤熊本病院 健康管理センターにて
・胃・大腸内視鏡 年間3,000例以上
















