博多人形のコーディネーターとはどんなお仕事ですか?
私共は世界にひとつしかないオリジナル人形の企画・制作を手掛けております。お客様が何を一番にご希望されているか、例えばブランドや感性やコストですね、それらをお聞きして、博多人形でパフォーマンスすることが使命と思っています。お客様のご要望を満たすには、どの作家をコーディネートするのがベストなのかを的確に判断することが腕の見せ所になります。つまり、博多人形師とお客様を結ぶ演出家を目指しているんです。
また、従来の博多人形に関しては、日頃から作家との交流で持ち味を知り、仕入れをし、このお店の中に並べることで凝縮された店の特徴を出すようなものを集めています。
お客様が主体で、飾る人の立場に立って、こちらでいくつか提案するんです。その中からお客様のお好みで選んでいただいています。
例えば新築祝いの場合、具体的にどういったコーディネートをしますか?
まず予算を伺います。そして、お飾りになる場所の背景、年代、性別を聞きます。若い方でマンション等にお住まいならば場所を取らない、ケースに入れなくてもさりげなく飾れるようなステキな人形をオススメします。床の間があるような大きな家ですと、格式のある能人形・美人人形等の古典的な、わりと大きなものをオススメします。お年を召した方は、昔ながらの古典的なお人形がやっぱりお好きですね。
作家も時代の流れにあわせて作る人形に苦心し、モダンな人形に挑戦しているんですよ。住宅状況が変わってきてますからね。
博多人形というと、どうしても美人人形や能人形を思いつくのですが、いろんな種類のものがあるのですね
たとえばこちらの博多人形のテーマは「初めての山笠」です。小さな男の子が初めて山笠に参加するとき、お尻を出して少し恥ずかしいでしょ?そういう表情まで物語をつけて作るんです。表情がにじみ出ていると思いませんか?
こちらは「蹴鞠」という作品で、万葉の世界がテーマです。動きがあって繊細で色もカラフルでしょ?和室だけでなく洋室に置いても映えるモダンな作品も揃えています。
こちらは「アネラ」といって、ハワイの言葉で「妖精」という意味です。フローリングのワンスポットからやさしく癒してくれます。
博多人形の父と言われている小島与一という作家の作品は眼力が違います。彫刻力が素晴らしいのは言うまでもなく、即興の表現力が豊かでした。名人と言われる作家の遺作をコレクションしていますが、今でも私たちに何かを語りかけているようです。
博多人形というと、かわいらしい、やさしいというイメージを持っていました。
いろんなジャンルがありますよ。童物、能人形、黒田武士、歌舞伎、美人物など。それぞれ作家の方たちには得意分野があります。それを私たちは的確に知り尽くしています。例えば、童物のかわいらしいのがほしいとかおっしゃったら、そちらの分野で納得の作品をオススメします。ちなみに、価格は作家の先生がつけるんですよ。価格も作家の自己主張なので、私たちが勝手につけるわけではないんです。私たちは「これなら絶対にオススメできる」というものを、自信を持って店内に並べています。
よく見ると山笠関連の人形が多いですね
そうですね、ウインドウも季節ごとに変えていきますからね。
今の季節は主人が山笠に出ておりますから、博多の夏らしさを演出しています。
様々な郷土人形の中で、博多人形の特徴とはどんなところですか?
陶器とか陶磁器というのは上薬を塗った後に焼きますが、博多人形は素焼きをして、焼いたあとに作家が絵付けをするんですよ。上薬がピカピカ光っていないから、土のぬくもりがあって、癒し、温かみがあるんですよ。それが博多人形の特徴です。
それだけに取扱が難しいそうですが?
素手で扱うと手の油が付きますから、手袋をはめて扱うなどが必要です。上薬がかかっていませんので、水拭きや油ぞうきんは禁物です。外国の方からもよく水拭きして顔が消えたと言って修理依頼のメールが来ます。また、食器類や陶磁器は焼く温度が1200度から1300度で高いから割れにくいんですけど、博多人形は900度前後なんですよ。少し温度が低いから割れやすいのも特徴。だからこそ大切に扱っていただきたいなと思ってます。
表情を見ているだけでも面白いですね。
作家によって顔も違いますからね。美人人形なんか、毎日見てる奥さんの顔に似てくるんですよ(笑)。奥さんを見たら「あ!」と思ったりします。
海外と取引もしているのですか?
オランダでお店を出している日本人女性の方がいらっしゃるんです。ピアノの先生をしながら、日本の文化をオランダに伝えています。お店の中で茶道をしたり、料理教室をしたり、竹細工を売ったり、京都の紙人形を売ったり・・・いろんな工芸品を売りながら日本の紹介をしている方です。その方がうちのことをすごく気に入ってくださって。毎年オランダからわざわざ仕入れに来ていただいています。他には、アメリカ、台湾や東南アジアの方でショップを始めるために仕入れていかれる方もいます。
老舗だけに手広いですね。
日本国内の方は博多人形を持ってらっしゃる方が多いんですよ。贈答品に使われるなど、結構有名ですよね。この頃はどちらかと言えば外国へのギフトとしていろいろな方からの問い合わせもメールでありますね。日本らしさというのを博多人形に感じてらっしゃるのかなと思って、嬉しくなりますね。
後藤さんはいつもこの店内にいらっしゃるのですか?
そうです。上が住まいです。
主人は外に出かけることが多いですが、私はずーっと毎日毎日ここにいて店を守っています。
運動不足になりませんか?
それがね、毎日朝4時半から起きて5時くらいから2時間かけて早朝ウォーキングしてるんですよ。動植物園まで主人と2人でね。向こうでストレッチ体操したり。朝は日の出を拝んで、緑の息吹を感じ、帰ってきてから仕事です。健康的な生活してますよ。
ということは、就寝は早いのですか?
私の生活の基本は「快食・快眠・快便」なんです。それを長い間守っています。そのためには早寝早起きが大事です。夜は11時過ぎには寝るようにしています。
「快食・快眠・快便」というのは、学生時代に主人と一緒に受けた講義の教授の言葉が頭にインプットされていたんです。それをずっと意識していて、結婚してから主人もそのことをおぼえていましたから、何かのときの合言葉に「快食・快眠・快便」。
いま、「食育」って言われていますけど、私は特に「食」を意識しています。また、運動不足、特にこんなところに閉じこもってたらまず運動はしないでしょ?いくら「快食・快眠・快便」と言っても、それに加えて適度な運動が必要だなと思います。それで15年ほど前から早朝ウォーキングを始めたんです。
「快食」を実行するために行っていることは何ですか?
子どもがお腹にいるときからそういう「食」の大切さは意識してました。栄養のバランスに気をつけて、規則正しい生活。そして、旬のものを食べること。
私ね、4月から8月はすごく家事で忙しいんですよ。保存食を作る季節なんです。ママレード、イチゴジャム、キャラブキ、シソジュースにラッキョウ、梅干し、奈良漬、梅酒、とにかくあらゆる保存がきくものを作るんです。昨日も夜遅くまでしたんですよ。薬やサプリメントは飲みたくないから、シソジュースをヨーグルトにかけて飲んだり、そういったものをすごく意識しています。
こんな商売ですから子どものことはあまり面倒見てやれなかったけど、食生活だけは毎日きちっと食べさせるように努力をしました。どんなに忙しくてもね、食生活だけは自信を持っています。
でも・・・その息子がこの頃小姑みたいになってね、逆に息子のほうが言うようになりましたよ。「この食事はバランスが悪い」「旬のものはそろそろ○○が出るよ」とかね(笑)。
その食生活のおかげか、お肌が本当におきれいですね。
でも、何もやってないんですよ。本当に、さっきの食生活だけ。同級生に久しぶりに会っても、「特別な化粧つけてる?」と聞かれますけど、基本的な生活をしてるだけなんですよ。
今後もこの健康法を続けていけば大丈夫ですね?
ただ、最近ちょっと自信がなくなったことがあってですね・・・
先日あるイベントに参加して、「この水を飲めば血液サラサラになる」という健康飲料を売っているコーナーがあったんです。そこで「血液サラサラの検査」をしたんです。私も健康に自信があったので検査してもらいました。そしたらね、担当の方の顔が最初は明るかったのに、だんだん暗くなるの(笑)。そして「赤血球の動きが遅いですね・・・」と。「でも、この水を飲めば血液サラサラになりますから」って慰めてくれたんですよ。それがショックでショックで・・・。
私、15年位前からケフィアヨーグルトっていうのを飲んでるんです。カスピ海ヨーグルトが流行する前からあったもので、菌を前日に牛乳に入れておくと、発酵してヨーグルト状態になるんです。それを飲むと血液サラサラになるんですって。それを毎日続けてるんですよね。そういうこともしてたから、私安心してたんですよ。で、さっきの血液サラサラ検査の結果でしょ。
だから、自分だけの過信で、正しい知識がないのに勝手に思い込んでるなんて、気をつけなきゃいけないって思ったんですよ。
それ以降新たに始めたことはあるんですか?
水をたくさん飲むようになりましたね。基本的には天然のものしかいただきませんし、それは変わっていません。ただ、気をつけてはいても、自分ではどうすることもできないこともあるんですよ。
それが更年期障害。ホルモンのバランスによるものなんです。どんなに私が頑張ってもね、それはどうすることもできなくて、半年くらい前からそういった壁にぶつかってるんです。だから、漢方薬を飲んでます。
それでも基本は「快食・快眠・快便+適度な運動」ですね。
はい、そうですね。最近は脂っこいものを控えたりするようにもしています。食欲はまだあって、「食べたくない」と思うことはありませんが、今後のためにも気をつけています。
最後になりましたが、博多人形を通した後藤さんの夢をお聞かせください。
世界中に広めたいですね。博多人形師の英知と技術は素晴らしいんですよ。世界中の工芸品と比較しても群を抜いています。この伝統技術を日本の誇りとして世界に広げたいです。博多人形を知らない国や地域はまだまだあります。できるだけ多くの方に知っていただきたいですね。ゆくゆくはインターネットも英語バージョンで出したいなと、夢をふくらませています。
今、学校の社会科の授業で伝統工芸品として博多人形が紹介されているんです。ときどき、小学生や中学生がお話を聞きに来ます。そうして博多人形を紹介していると、色々な人との出会いに喜びを感じ、400年の伝統に新しい創造を加えつつ伝えていきたいと思っています。
本日はどうもありがとうございました。
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